コラム経営の羅針盤

シリーズ 北海道「食・農・観光」徒然記〔1〕 2019/01/16 コラム

一般社団法人日本能率協会 KAIKA研究所
田中達郎

北海道の3つの資源

全国の百貨店で開催される「北海道物産展」。どなたでも一度は足を運んだことがあるでしょう。どの会場も大変盛況です。業界では同物産展のことを“ドル箱催事”と評するほど、その売り上げ規模も高額となります。また、主要都市にある北海道のアンテナショップも常にお客さんで溢れています。言うまでもなく皆さんのお目当ては、新鮮な果物や海産物、乳製品を扱ったスイーツなどの道産食品です。広大な大地で、大きく変化する四季を通じて育つこれらの食材が持つ魅力は、今や“北海道ブランド”として日本に留まらず、世界中から注目を集めています。まさに「食」は北海道を代表する資源の一つです。同時に食糧生産に関わる一次産業である「農業」の北海道の取扱額、従事者数も国内では最大規模となります。

加えて、ラーメンやスープカレー、海鮮丼にジンギスカンなど北海道のグルメを楽しむ目的での旅行や、手つかずの自然、世界一とされる良質な雪を活用したアクティビティを求める、いわゆる“コト消費”と呼ばれる「観光」も欠かせない資源と言えます。この「食・農業・観光」の3大資源を有効に活用することが、北海道の活性化には不可欠なのです。

 

◆JMAの地域活性事業への挑戦

北海道のために何ができるか、何をすべきか――。企業の経営支援を行う日本能率協会(JMA)では、2017年から北海道の活性化に向けた事業を展開しています。経営課題解決のための手法は企業だけでなく、地域活性のためにもお役に立てるのではないか、という思いがきっかけです。これまでJMAが行ってきた「人づくり」「産業振興(展示会)」の手法を何とか活かしたいと考えました。

もちろんこれまでも、北海道の経済界を代表する主要な方々にお話を伺う評議員会の開催や、北海道の企業や組織に個別の支援をする機会がありました。そこで、まずは当時よりお付き合いのある方々にご意見をいただくことから始めました。2016年春、こうして「北海道アグリ・フードプロジェクト」は産声を上げました。

その後、JAグループ北海道や北海道大学、地域金融機関や経済団体などの有識者で構成された実行委員会が企画主体となり、一年にわたる準備期間を経て、2017年度よりイベント&カンファレンス事業と、学習&交流事業を、また、2018年度には更に観光産業の振興を目的とした「観光・ホテル・外食産業展」の開催など、次々と事業を展開していったのです。

 

◆期待の高まる北海道観光

最近では観光地や街のいたる場所で外国人旅行者を見かけない日はありません。日本政府観光局の統計では、ここ数年の訪日外客数は右肩上がりとなっており、2018年は11月迄で2,856万人と、おそらく年間で3,000万人を超えるものと推定されています。この内、北海道の割合は約10%とされています。47つの都道府県がある中で全体シェアの1割を握るほどと考えると、改めて北海道の観光資源の豊かさが伺えます。

この流れを受け、北海道の観光産業ではインバウンド対応に向けた施設や体制整備が急がれています。一年を通じて四季折々の魅力を持つ北海道では既にホテルも満室状態が続き、行列のできる人気の飲食店があちらこちらで見られます。何かと厳しい話題が多かった昨今の北海道にとり、インバウンド需要の拡大は久しぶりに運ばれて来た明るい話題と言えます。 北海道を代表する3つの資源のうち、活況を呈するこの「観光」の分野をより効率的に活用して「食」「農業」との相乗効果も発揮させるような新しい取組み、イノベーションが求められます。これを実現させるべくJMAも引き続きこの3つのテーマで北海道活性化事業を推進していきます。(2へつづく)